エクソソームの研究はどこまで進んでいるか治療を考えるときのポイント

エクソソームの研究はどこまで進んでいるか治療を考えるときのポイント

幹細胞が出す小さな粒子を利用して、傷ついた組織の修復などに役立てられないか。エクソソームを含むEVの研究は、この可能性を確かめるために進められています。

では、実際の患者さんに対して、どこまで分かっているのでしょうか。研究の結果を読むときは、「細胞や動物で調べたこと」と「人で確かめられたこと」を分けて考える必要があります。

📌 この記事のポイント

  • EV関連の研究数と治療効果は別に考える必要があります。 臨床試験には治療だけでなく、病気の診断や経過の評価を目的とする研究も含まれます。
  • 人を対象としたエクソソーム研究は、まだ限られた段階です。 脊髄損傷患者9人を対象とした研究では一部の評価で改善が見られましたが、治療効果が証明されたと結論づけることはできません。
  • 医療への応用には、品質・投与方法・長期的な効果と安全性の検証が必要です。 細胞の種類や培養条件、製造方法などによって、製品の成分や働きが異なる可能性があります。
  • 治療を検討する際は、実際に使用する製品と投与方法に関する根拠を確認することが重要です。 幹細胞の治療成績をエクソソームにそのまま当てはめず、期待できる改善、未解明の点、副作用への対応、費用などを確認しましょう。
  • 表参道ヘレネクリニックでは、MSCやMSC由来エクソソームに関する研究に取り組んでいます。 細胞を用いた実験と人を対象とした研究の違いを踏まえ、それぞれの研究で何が分かり、何がまだ分かっていないのかを区別することが大切です。

研究の数と治療効果は分けて考える

エクソソームを含むEVは、皮膚、神経、呼吸器、免疫など、幅広い分野で研究されています。ただし、研究には、病気の治療に使うものだけでなく、血液などに含まれるEVを調べて、病気の発見や経過の把握に役立てるものもあります。

2023年末までに登録された研究などを調べた2024年の論文では、471件のEV関連臨床試験がまとめられました。このうち治療を目的としたものは約2割で、残りは診断や治療経過の評価に関する研究でした。[1]

「たくさん研究されている」と聞いたときには、その数だけで判断せず、何を目的に、誰を対象に調べた研究なのかを確認すると、理解しやすくなります。

人を対象にした研究で分かったこと

一例として、2024年には、脊髄損傷の患者さん9人に、臍帯由来MSCから得たエクソソームを投与した研究が報告されました。脊髄の周囲の液体がある空間に投与し、主に安全性を調べる初期段階の試験です。

12か月の観察で、投与が原因と判断された健康上の問題は報告されず、感覚や日常生活動作などの一部の評価で改善が見られました。

ただし、人数が少なく、比較対象となるグループもありません。自然な回復やリハビリなどの影響と、投与の効果を十分に区別することはできません。結果は次の研究につながる手がかりですが、これだけで「効果が証明された」「誰にでも安全」と結論づけることはできません。[2]

医療への応用に向けて残っている課題

実用化に向けては、働きの仕組みだけでなく、使うものの品質や使い方を確かめる必要があります。主な課題は、次の三つです。

品質を一定に保つこと。 元の細胞の種類や培養条件、粒子を取り出す方法によって、含まれる成分や働きが変わる可能性があります。同じ「MSC由来」という表示でも、同じ品質・作用とは限りません。

適切な量と投与方法を確かめること。 点滴、局所への注射、吸入などでは、体内での届き方が異なります。ある方法で得られた結果を、別の投与方法にそのまま当てはめることはできません。

長期的な効果と安全性を調べること。 短期間に問題が見られなかったとしても、まれな副作用や長期的な影響まで分かるわけではありません。対象となる病気と、使用する製品ごとの検証が必要です。[3]

厚生労働省も2024年7月の通知で、当時、幹細胞培養上清液やエクソソーム等について、有効性・安全性が示されて薬事承認を得た医薬品はないと説明し、品質やリスクの管理を含め、安全性への注意を求めています。[4]

幹細胞治療とエクソソーム治療をどう考えるか

では、実際に治療を考えるとき、どちらを選べばよいのでしょうか。

現時点では、病気や症状によって幹細胞とエクソソームを使い分ける統一的な基準は確立していません。大切なのは、自分の病気や症状に対して、実際に使用する製品と投与方法で、どこまで有効性と安全性が確認されているかです。

例えば、幹細胞で得られた治療成績を、そのままエクソソームにも当てはめることはできません。また、あるEV製剤の研究結果が、別の培養上清液にも当てはまるとは限りません。[3,5]

診察では、次のように聞いてみるとよいでしょう。

  • 「私と同じ病気や症状の人では、どんな結果が出ていますか」
  • 「実際に使うのは幹細胞、培養上清液、分離・精製したEVのどれですか」
  • 「期待できる改善と、まだ分かっていないことは何ですか」
  • 「副作用への対応、ほかの治療の選択肢、総費用を教えてください」

これらを確認することで、説明された研究結果が自分にどこまで当てはまるのかを判断しやすくなります。

表参道ヘレネクリニックの研究活動

表参道ヘレネクリニックでは、MSCやMSC由来エクソソームに関する研究にも取り組んでいます。これまでに、次の研究を発表しています。

2021年 皮膚細胞の酸化ストレスに関する研究

培養した皮膚の細胞を使い、活性酸素による負担に対して、MSC由来エクソソームがどのような影響を与えるかを調べました。[6]

2024年 皮膚細胞の老化に関わるストレスの研究

豚胎盤抽出物や、それで刺激したMSCから得たエクソソームなどについて、紫外線などによる皮膚細胞のストレス反応への影響を調べました。[7]

2024年 自家MSCの静脈内投与に関する研究

自分の脂肪から得たMSCの投与を受けた2,504人の診療記録を用いて、安全性を評価する観察研究を行いました。[8]

最初の二つは細胞を用いた実験であり、人の肌の若返りを証明したものではありません。また、2,504人の研究も、過去の診療記録を調べたもので、あらゆる病気への効果や、リスクがないことを保証するものではありません。それぞれの研究が何を調べ、どこまで分かったのかを明らかにしながら、知見を積み重ねています。

表参道ヘレネクリニックでは、患者様の状態や治療目的を伺い、再生医療に関するご相談をお受けしています。ご自身の状態に対する根拠、期待できること、リスクや費用について、診察時にお尋ねください。

RESERVATION

お電話またはメールフォームにてお問い合わせください。
LINELINELINELINE、WeChat、WhatsApp、KakaoTalkでも受け付けています。

お電話でのお問い合わせ

tel.03-3400-2277

営業時間 : 10:00~19:00 / 休診日:日曜、第1・第3水曜

メールでのお問い合わせ

問い合わせフォーム
ヘレネ先生 ヘレネ先生に相談