前回の記事では、幹細胞治療を始める前の初回カウンセリングについてご紹介しました。
治療への適応が確認されたら、次は実際の治療です。では、幹細胞はどのように採取されるのでしょうか。また、どのような培養や品質管理を経て投与されるのでしょうか。
ヘレネクリニックの幹細胞治療は、基本的には2回の来院で進めます。
まず、1回目の来院ではカウンセリングを行います。その日に治療を受けることを決定された場合は、同日に細胞採取まで行うことができます。
その後、採取した細胞は約4週間にわたって培養・品質管理を行います。培養・品質管理が完了した後、2回目の来院となります。
そして、2回目の来院では、治療前の準備から細胞投与、治療後のケアまでをすべて同日に行います。
ここでは、ヘレネクリニックで行われている幹細胞治療の流れを、来院ごとに詳しくご紹介します。
📌 この記事のポイント
- 幹細胞治療は、基本的に2回の来院で進めます。1回目はカウンセリングを行い、当日に治療を決定された場合は細胞採取まで行います。
- 採取した細胞は、クリニック内のCPCで約4週間の培養・品質管理を行います。
- 2回目の来院では、治療前の準備、細胞投与、治療後のケアをすべて同日に行います。
目次
幹細胞治療の流れを一目で確認
| 来院 | ステップ | 内容 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1回目 | カウンセリング・細胞採取 | まずカウンセリングを行います。カウンセリング当日に治療を受けることを決定された場合は、同じ日に細胞採取まで行うことができます。 | 約1時間~1時間30分 |
| 1回目と2回目の来院の間 | 細胞培養・品質管理 | 採取した細胞をクリニック内の細胞処理施設(CPC)で培養し、品質管理を行います。 | 約4週間 |
| 2回目 | 治療前の確認 | 現在の状態、治療計画、投与する細胞数などを再確認します。 | 約15~30分 |
| 細胞投与 | 治療計画に応じて、静脈点滴(IV)または特定の部位への直接投与を行います。 | 約30分~1時間 | |
| 治療後のケア | 患者様の状態を確認します。その後、治療当日の注意事項やアフターケアについてご説明します。 | 同日 |
1回目の来院:カウンセリングと細胞採取
まず、カウンセリングを行います。患者様の治療歴や現在の健康状態を確認します。
さらに、幹細胞治療への適応について医師が総合的に判断します。
そのうえで、カウンセリング当日に治療を受けることを決定された場合は、そのまま細胞採取へ進むことができます。
1回目の来院全体の所要時間は、通常1時間~1時間30分程度です。
細胞はどこから採取するのでしょうか?
ヘレネクリニックでは、耳の後ろから脂肪組織を少量採取します。皮膚には約5mmの小さな切開を行います。
この処置は局所麻酔下で行われ、通常約10~20分で終了します。血液も、このタイミングで検査のために採取します。
なぜ耳の後ろから脂肪組織を採取するのでしょうか?
ヘレネクリニックでは、クリニックの治療案内に基づく細胞採取プロトコルの一環として、この部位を選択しています。
耳の後ろの脂肪組織は、腹部の脂肪組織と比べて脂肪細胞のサイズが小さく、細胞間のスペースが大きいという特徴があります。
このため、MSCが生存しやすい環境が保たれやすく、より多くの細胞を採取できる可能性があります。
採取後は、傷口に自然に溶ける糸を使用するため、抜糸の必要はありません。痛みはほとんどありませんが、念のため少量の鎮痛薬を処方します。
患者様の状態に特に問題がなければ、通常は採取当日にご帰宅いただけます。
細胞培養・品質管理
採取した細胞は、ヘレネクリニック院内の細胞処理施設(Cell Processing Center:CPC)で、約4週間にわたって培養・品質管理を行います。
2回目の来院は、1回目の来院から少なくとも4週間以上の期間を空けて、患者様のご都合に合わせて日程を調整します。その間、採取した細胞は院内のCPCで培養・品質管理を行い、2回目の来院に備えます。
細胞の採取から保管までを院内で管理
ヘレネクリニックでは、細胞の培養・処理工程を外部に委託していません。自院の細胞処理施設で管理しています。
そのため、細胞の採取から培養、検査、保管までを一貫して管理できます。また、各工程における細胞の取り扱い状況を追跡できる体制を整えています。
細胞処理環境と品質管理
クリニックの品質管理システムはISO 9001の認証を取得しています。
さらに、細胞処理エリアではISO Class 5のクリーンベンチを使用しています。
また、細胞培養に使用する培地には、動物由来成分を使用しない「HELENE Medium」を採用しています。
細胞の状態を複数の段階で確認
品質管理は複数の段階で行われます。まず、自動細胞計数装置を使用して細胞数を確認します。
次に、画像解析技術によって細胞の生存率を評価します。
さらに、細胞表面の特徴も確認します。これにより、目的とする間葉系幹細胞(MSCs)としての特性を有しているかを確認します。
バーコードによる検体管理
細胞の取り違えや混同を防ぐため、それぞれの検体にはバーコードを付与します。
その結果、採取から培養、検査、保管までの工程を識別システムによって管理できます。細胞の取り扱い状況も追跡できるようにしています。
投与まで細胞を適切に保管
培養と品質管理を終えた細胞は、投与まで保管されます。
その際、マイナス196℃の液体窒素を使用します。
2回目の来院:治療前の準備から治療後のケアまで
細胞の培養・品質管理が完了すると、2回目の来院となります。
この日は、治療前の準備、細胞投与、治療後のケアをすべて同日に行います。
治療前の準備
まず、細胞を投与する前に医療スタッフが患者様の状態を確認します。
主な確認項目は以下のとおりです。
- 現在の健康状態
- 必要な検査結果
- 治療計画
- 投与する細胞数
- 細胞投与の流れ
また、治療を行うタイミングは、患者様の状態や治療計画を考慮して決定します。
そのうえで、投与前にも医療スタッフが適切なタイミングであるかを改めて確認します。
細胞投与
治療前の準備が終わったら、投与室へ移動します。
投与方法は、患者様の状態や治療計画に応じて決定します。静脈点滴(IV)または特定の部位への直接投与を行います。
投与にかかる時間は、通常約30分~1時間です。
静脈点滴の場合は、リクライニングチェアでリラックスしてお待ちいただけます。
さらに、処置中には飲み物や軽食をご用意します。看護師も定期的に患者様の状態を確認します。
投与終了後は、必要に応じて細胞採取部位に圧迫バンドを使用します。また、医療スタッフが採取部位の状態も確認します。
治療後のケア
細胞の投与が終わったら、回復スペースでしばらく休んでいただきます。
その後、医療スタッフから治療当日の注意事項をご説明します。あわせて、帰宅後のケアについてもご案内します。
例えば、治療当日は湯船につからず、シャワーのみでお過ごしいただくようご案内しています。
なお、患者様の状態に特に問題がなければ、通常は治療当日にご帰宅いただけます。
なぜクリニック内のCPCが重要なのでしょうか?
再生医療では、投与する細胞の状態や品質を適切に管理することが重要です。ヘレネクリニックでは、細胞の採取から培養、品質管理、保管までを自院のCPC(細胞加工施設)で一貫して管理しています。
細胞の処理は、標準作業手順書(SOP)に基づき、定められた手順に沿って行われます。適切な環境で各工程を管理することで、細胞がどのように採取・処理・保管されたかを追跡できる体制を整えています。
このように、適切な細胞処理施設を整備することに加え、SOPに基づいて各工程を管理することは、細胞の品質と安全性を適切に管理するうえで重要な工程の一つです。
よくある質問(FAQ)
細胞を採取するとき、痛みはありますか?
局所麻酔で行うため、痛みを感じることはほとんどありません。
1回目の来院から治療までどのくらいかかりますか?
1回目の来院ではカウンセリングを行います。
カウンセリング当日に治療を受けることを決定された場合は、同日に細胞採取まで行います。
カウンセリングから細胞採取まで、1回目の来院全体で通常1時間~1時間30分程度です。
その後、採取した細胞は約4週間にわたって培養・品質管理を行います。
培養・品質管理が完了した後、2回目の来院で治療前の準備、細胞投与、治療後のケアをすべて同日に行います。
2回目の来院では何を行いますか?
2回目の来院では、治療前の準備、細胞投与、治療後のケアをすべて同日に行います。
まず、患者様の現在の状態、治療計画、投与する細胞数などを再確認します。
その後、治療計画に応じて静脈点滴(IV)または特定の部位への直接投与を行います。
投与後はしばらく休んでいただきます。そして、治療後の注意事項やアフターケアについてご説明したうえで、ご帰宅いただきます。